アレクサンダーテクニークと私

私について(プロフィール)

50歳を過ぎてアレクサンダー・テクニークを習い教え始めて20年近くになります。今が一番楽(身体も気持ち)に生きて動けていると思えるのはこのワークのおかげです。

私はなぜアレクサンダー・テクニークを学ぼうと思ったのか。

アレクサンダーテクニークを学ぼうとした動機は“自分が自分を思うように使えていない”という強い自覚から始まりました。50歳を過ぎてボディワークを仕事とするようになっていましたが自分の不器用さに辟易していました。

「私は何をやってもダメ」、「他人よりへたくそ」という自己観に囚われていました。このワークを初めて体験したとき“これだ”。“これをやっておかないと一生後悔する”と直感しました。

片桐ユズルさん(日本にアレクサンダー・テクニークを紹介した。)から初めてワークを受けた時のことはいまでも忘れられません。

ある友人がアレクサンダー・テクニークを半年受けたらからだが全く変わった、と話したことをなぜか覚えていました。(そのころは痛切に自分のからだを変える必要があると思いボディワークの勉強をしていました。)それがユズルさんからワークを受けた動機です。

その時の体験は本当に目から鱗でした。

人からボディワークを受け、また他人にワークをしていて最大の疑問は、自分を含めて人はなぜ後頭部、すなわちAOジョイント(環椎と後頭骨の関節)をすぐに固めてしまうのか、ということでした。

この部位はからだ全体(こころ、精神との関係まではその当時は理解していませんでした。)の状態を反映するのでここの解放が変化のためには不可欠であるのに、です。誰もが何回ワークをしてもこの部分を必ずといってよいほどすぐ固めるのです。

“このワークを学ばないと一生後悔するはめになる”、本当にそう思いました。でもその時私はすでに50歳を超え、ひとがそろそろ老後のことを考え始める年でもありました。

でも後悔するよりはやっておこうという思いが勝ちました。

その背景には自分の自分への強い思い込みがありました。自分は不器用な人間で何をやってもだめ、他人のようにうまくできない、ということでした。

小学校に入ったころから私は音楽だめ、体育だめ、図画工作だめ、すべてが不得意と自分で思いこんでしまっていました。

私は自分を思い通り使えていないと強く思った記憶があります。

そのころ参加したワークショップでは参加者がはなばなしくパフォーマンスのアクティビティをするのを“同じお金を払っているのに私はすることがなくて損をしている。”という気分で眺めていました。

このワークを学べばそんな自分を変えることができると思ったのです。

すぐスタートしたトレーニング゙に加わりました。ATA(Alexander Technique Associates)一期生です。

それから20年近く経ちプロコースでも教えるようになったいままでに、期待していなかったことも含め沢山の変化を体験しました。以下に思いつくものだけでも書いてみます。

自分にやさしくなれた。

何かがうまくできなかったり、失敗したとしてもそこから学べることある。

自分を非難するかわりに建設的に考えられるようになりました。

心身ともに元気である。

立つ、歩く、家事をするなどともかく日常の動きが楽になりました。

加齢を考慮しても今がこれまでの人生で一番元気と思えるのは幸せです。

病気や痛みとうまく付き合えるようになりました。

しばしば肩や腕をいためていいました。もちろんその使い方に問題があったのですがそれゆえに手や腕の使い方をより深く学ぶ機会があった気がします。

歯周病で長年歯の痛みに悩んできましたが今はその痛みを引き起こすストレスはなんだろうと考えられるようになりました。当然痛むことが減ってきました。

乳がんを体験したがそれも同様に考え、5年以上経過しいまのところ再発していません。

自分にやさしくなれたのが大きな理由と思われます。その時は自分との付き合い方を変えないと命にかかわると思えました。

ストレスに直面した時、それに取り組む自分を好奇心をもってながめられるようになったように思います。

 以前はその状況からともかく逃げることしか考えなかったように思いますが、いまはあまり結果を求めなくなったので以前より対応が楽になったように思います。

他人とのコミュニケーションが随分楽になりました。

また人前であまり緊張しなくなりました。

ひどい人見知りでした。ともかく他人と会ったり、とくに初対面のひととは話すのが大変といつも感じていました。その度に首を固めていたのです。

アレクサンダー・テクニークをを使い、また新しい出会いに好奇心をもつことでそれを楽しむことするできるようになりました。結果的に友人も沢山できました。

新しいことを取り組む意欲がでた。

以前は何かやりたいことがあってもやる前に諦めることが多かったのですがトレーニングが終了してから水泳に挑戦しました。アレクサンダー・テクニークを使うことで確実に進歩しているのを感じます。

また以前はストレッチなど痛いだけ決して自分はできないと思っていましたがいまは楽に続けています。(身体のデザインに沿うように動くことを学ぶのもものワークの特徴です。)

他人を先入観で決めつけなくなりました。

以前は好きでない部分があっただけでその人全体を拒否したくなりました。今はそうした面があってもそれがその人のすべてではないと思えるようになり、積極的にその人の美しいと思えるところ、すばらしいと思えるところを探すことができるようになりました。

怒りを中断できるようになりました。

以前は怒りが生じると果てしなくそれに巻き込まれましたがいまはアレクサンダー・テクニークをつかうことでその怒りから何かを学ぶことすらできるようになったように思います。

私にとってアレクサンダー・テクニークはセラピーではないのですが生きていく上で悩みやの苦しみに取り組むために大きな支えになっています。

長時間坐禅することができるようになりました。

いつの日か坐禅ができるようになりたいと思っていましたが(これもアレクサンダー・テクニークを学びたいと思った動機の一つです。)いまは坐ることが楽になり積極的に坐りたいと思えるようになりました。

 

アレクサンダー・テクニークを使い続けることによる変化は時間とともに加速するように思えます。

5年後、10年後は老年と言われる年齢になります。その時自分はどうしているか想像できませんが“老い”を否定的に考える代わりに、起こる事柄に好奇心をもって、健康で自分で自分の面倒をみて、やりたいことをしていたいとつくづく思います。そのために私はこのワークを続けると断言できます。

私的な体験を最後まで読んでいただきありがとうございました。

さて読者の皆様、

“1年後、5年後、さらにその先、どんな自分になりたいですか?

何ができるようになりたいですか?

アレクサンダー・テクニークはそのための強力な道具です。”