アレクサンダー・テクニークとは

2002年に教師資格を得てこのワークを教えはじめました。その頃は知名度も低く、誰かに知ってもらうためには‘アレクサンダー・テクニークはね’、とこの技法の説明をしなければならなかったのですが今では沢山の先生が誕生し世間的にも認知されるようになりました。

アレクサンダー・テクニークをことばで説明しようとすると‘群盲象をなでる‘という気持ちになりますがそれを承知で書くことにしました。

 

創始者であるFM Alexanderは朗誦家として舞台の上で声を思うように出すことができなくなったことをきっかけにこのテクニークの原理を発見しました。それは思考(心、気持ち)が頭と脊椎の関係性として身体に現れることです。

つまり彼は自分が思い通り声を出せなかったのは自分の意図したように自分の身体が機能していなかったことを発見したのです。

それは声をだそうとしたとき頭を胴体の方に押し下げ、それにより脊椎が圧縮され、その結果生じる呼吸器への影響をはじめとする体のさまざまな部位でおこる必要以上の緊張でした。

であるならば自分の思い通り声を出すためにはどのようにしたらいいかがワークとなります。

そのワークは簡単に言えば自分が声を出す(何かをしようとする)とき、それまでの習慣的な(無意識に行っていた)やり方の代わりに自分にたいして頭を押し下げるやり方に代わる脊椎を長く使うための指示を出し続けることです。

そのやり方で彼は自分の声を取り戻しただけでなく健康状態も回復しました。

彼は自分の習慣的な体の使い方が実は人類に普遍的に起きているのを認識し、このワークを広めることをはじめました。

このワークは‘’心身統一体としての人間の在り方についての提案’でありそれを生きるための技法です。身体を含めた根源的な在り方を具体的に示したという点でいまだに革新的であると思います。

ヒトが何かをしようとして思う、あるいは考えることが身体にどのように反映されるのか、影響するのかという‘心身の相関のプロセス’を20世紀の初めにFM Alexanderは発見したともいえるでしょう。

それから100年以上が過ぎ、このワークはいまだに広がり続けています。

人は何かをしようとするとき自分の全体性(心とからだ)からしない限り、頭と脊椎のバランスを失い余分な緊張を引き起こす。であるならば自分の全体性から何かをするとはどういうことか?

またどのようにすればいいのか?その答えがこのワークです。

(アレクサンダー・テクニークという表現はその原理についての説明で、ワークと表現するときはその実践を意味します。)

 

それは自分の習慣的な在り方から出てくることです。

まず自分の全体性とは環境を含めた自分の身体と思考への気づきがある状態と思います。

ワークはそこから自分がこれからしたいことを自分自身に指示していきます。最初は教師(FMはこのワークを心身の再教育と定義している)から教わる必要がありますが、それは自分で自分に使えるようになるためにです。

それによって私は‘なりたい自分’“在りたい自分”に近づける、また目的とする動きを効率的(より少ない力で)できるようになります。

何かをしようとして思い通りいかないときや痛みなど、支障をきたす何かがあるときこのワークは大変役に立ちます。

大きくは自分の人生の望みを実現するために、日常的にはさまざまな動きをより楽にするためにこのワークを多くの方に体験していただきたいと思っています。